不正咬合=悪い歯並びは、心身に大きな影響を与えます。
歯並びが悪ければ、咬み合わせも悪くなり、上手く食べ物を噛むことができず、消化器官に負担を与えたり、頭痛や肩こりの原因になるなど、全身の健康に大きな影響を与えます。それは肉体的なものばかりでなく、精神的にも大きな負担に繋がります。
小児矯正歯科(子どもの矯正)では、将来、不正な咬み合わせの原因となる舌、口唇、呼吸、嚥下等の悪い習慣をなおし、理想的な発育を目指します。幼少期から、最適な時期を見逃さずに矯正治療開始することによって、将来的な抜歯治療の可能性を減らすことができます。
また小児矯正治療は、お子さまの持つ成長力を利用してお顔のバランスや歯並びを整えることが出来る点も、子どもの矯正の特徴です。歯並びをきれいにすることは虫歯、歯周病の予防にも繋がりますので、お子様の歯並びでお悩みの方や小児矯正治療をお考えの方は是非矯正カウンセリングをご利用下さい。
当院の矯正治療では、自院にセファロ付きCTを完備しており、必ずセファロレントゲン撮影を行います。
セファロ撮影とは、顔面・頭部のX線撮影のことであり、正確な矯正治療を行う上で、必須のツールの一つです。セファロ写真=「頭部X線規格写真」は、世界共通の規格に基づき撮影を行い、顎の大きさや形態、上下の顎の位置関係、歯と顎の位置関係、歯の傾き、お口全体のバランスなど微細な情報を正確に把握することが可能です。その為、矯正治療の治療計画を立てる上で、非常に重要な役割を果たします。
また、治療前・治療後の比較により、歯が動いたことによる変化などを比較できます。
※CTを完備していても、セファロ撮影ができるとは限りません。セファロ撮影は通常撮影と別機能です。
歯並びを考えた場合、生まれてから成人するまでに下の図のような流れがあります。
正常に歯や顎が成長し、不正咬合にならず正常咬合の軌道を進めれば矯正治療の必要はありません。
しかしながら、舌、口唇、呼吸、嚥下等の悪い習慣や顎の成長や生えてくる歯の大きさなど様々な要因で、何もしなければ、将来不正咬合になるケースがあります。
幼少期からの治療「1期治療」を行うと、大人になってからの治療「2期治療」で抜歯の可能性が下がる、治療期間が短くなる、骨格にアプローチできるのでより理想的なゴールに近づけるなど、様々なメリットがあります。
大人になってからの矯正は、既に出来上がった不正咬合を治療する事になるため、抜歯をしなければならないケースがあります。また、子どもの場合は、成長を利用して歯並びなどをコントロールできますが、成人になってからは「成長」という力を用いる事もできない為、負担も大きくなります。
将来のお子様の健康的な歯並びや咬み合わせを得るために、最適な治療時期を見逃さず、小児矯正治療を開始することお勧め致します。
具体的には、前歯が生え変わる小学校低学年から永久歯が生えそろい、顎の成長の目途が立つ中学校の前半頃が該当します。
この1期矯正治療では、取り外し可能な歯列の横幅を広げる矯正器具などを用いて、土台となる顎の形を整えたり、顎骨の成長を利用した骨格的な改善を行い、併せて歯並びや咬み合わせに悪影響を及ぼす舌や口唇、呼吸、嚥下等の悪い習慣をなおす指導も行います。舌や口唇、呼吸、嚥下等の悪い習慣が残っていると、矯正治療で歯並びを整えても元の不正咬合に後戻りする場合もあります。
また、この時期に歯列の横幅を拡げたり、顎の位置のバランスをコントロールすることによって、2期治療での抜歯のリスクを減らすことができます。
※1期治療を終えた時点で、正常な軌道に戻るケースもあります。その場合、1期治療で終了となりますが、より確実に綺麗な歯並び・咬み合わせを得られるように、2期矯正治療に入ることが基本です。
上の前歯が極端に前に出ている
下の前歯が極端に前に出ている
歯の向きや位置が乱れている
歯と歯の間に隙間ができている
口を閉じていても歯が閉じない
嚙み合わせが合っていない
下の歯が上の歯より前に出ている受け口(反対咬合)は、3歳児検診で4~5%の割合で見つかります。
大抵は「永久歯が生えるまで様子を見ましょう」といわれますが、自然治癒する割合は1割に達しません。小学生上級生以降になって、頭にベルトを巻き下あごを押さえつける「チンキャップ治療」などが試みられますが、子どもへの負担が大きいです。
そこで最近注目されているのが、幼児のうちに改善させる「ムーシールド」による治療法です。
寝ている間、口に特殊なマウスピースを装着する治療方法です。
受け口は舌の位置が低く、下あごを前に押し出すように筋肉の圧力が働きます。
マウスピースの装着で舌の位置を上げ、口の周りの筋肉を正常化することで、上あごの成長を促し、下あごの成長を抑えます。
1年以内に効果、9割改善します
受け口の治療は、幼い頃から始めるのと大人になってから始めるのとでは、その内容に大きな違いが出てきます。
噛み合わせを逆のままにしておくと、下顎骨が過成長し易い状態が続きます。 下顎骨が取り返しの付かない程、大きくなってしまう前に逆の噛み合わせは治しておくべきです。早ければ早い程、ご本人の負担は軽くて済むと思います。年齢が高くなると、治療法の選択肢が狭くなります。過成長し、大きくなってしまったら「下顎骨を切断して縮める」という手術法も、選択肢に上がってきます。
「矯正⇒手術⇒矯正」で3年
歯並びや咬み合わせの形成は遺伝だけでなく、舌の位置と頬や口唇からの圧力のバランスと悪習癖の有無が大きな影響を及ぼしています。それらが改善されていないと、様々な不正咬合を招くことになります。
例えば、舌突出癖や指しゃぶりや咬唇癖が「上顎前突(出っ歯)」を招き、舌の位置の異常は「開咬(上下の前歯が閉じない)」、「反対咬合(受け口)」の原因となることがあります。
また、舌の位置・使い方や口の周りの筋肉に問題があるとバランスが崩れ、歯列が狭くなることがあり、狭窄した歯列では歯の並ぶスペースが不足しているため、「叢生(ガタガタな歯並び)」になってしまいます。
そして、アレルギー性鼻炎などによる口呼吸の習慣が、舌の位置の異常や口の周りの筋肉の弛緩に繋がることもあります。
当院では、幼少期からの「舌を正しい位置に置き、お口を閉じて、しっかり鼻で呼吸をする。」 ための舌・口唇のトレーニングプログラム口腔筋機能療法(MFT)を用意しております。
口腔筋機能療法(MFT)とは、後天的な筋肉の不調和を舌や口唇、頬などの口腔周囲筋のトレーニングを通して整えていく療法です。
具体的には、正しい舌の動きや正しい口の周りの筋肉の動きを習慣化し、正しく機能させる訓練を行う療法で、咀嚼時、嚥下時、発音時、安静時の舌や口唇の位置の改善、「呼吸」をはじめとした口腔機能の改善効果が期待できます。
1日2万回以上とも言われる「呼吸」が、正しく行われているかは、非常に重要なファクターであり、正しい「呼吸」の習慣を身につけることは、全身の健康にもつながります。
歯並び、咬み合わせの問題は「歯」だけではなく、「骨格」に問題があることも多いです。
子どもの場合、顎の成長バランスの乱れは、成長を促してバランスを整えることができます。
成人では成長が止まっているため、成長の力を利用した治療ができません。しかし、子どもの場合は、成長を確認しながら、最適な時期に治療を行い、顎のバランスを整えて行くことができ、将来的な抜歯治療や外科的矯正治療のリスクを減らすことへ繋げることができます。
また、お子様が小学生ぐらいの下の前歯の生え変わりが始まる時期に「歯がはえてくるスペースが足りない。」ケースのご相談よく受けますが、子どもの矯正であれば、歯列の横幅を拡げて歯が並ぶスペースを作ること(歯列の拡大)ができます。これにより、ある程度の歯並びのガタガタ(叢生)が改善でき、将来の抜歯治療のリスクを低くすることができます。
但し、歯列を拡げられる限界もあります。歯列を拡げすぎると、理想的な歯の生え変わりや「咬む」という大切な機能に問題を起こす危険性あります。そのような場合は、「抜歯治療」の方が良いケースもありますので、長い将来を考えた場合、ケースによっては、2期治療で抜歯治療を提案させて頂く可能性もあります。
しかし、舌や口唇の悪い習慣が原因で歯列が狭くなっているのであれば、正しい舌や口唇の使い方を得て、歯列を本来あるべき大きさに拡げることは、子どもの矯正治療でしかできない大きなメリットです。
当院では、拡大床といった矯正装置を使った床矯正も対応しております。
床矯正は、顎の骨の成長が活発な「4~12歳」くらいの子どもを対象とした入れ歯のような「床」の部分がある矯正装置を用いた治療方法です。
この時期であれば、効率良く歯列を拡大することができるので、顎の小ささが原因で歯が綺麗に並ぶことができない場合に、写真のような拡大床と呼ばれる装置を用いて、本来あるべき歯列に拡大させ、理想的なスペースを作り歯を抜かずに綺麗に並べさせることが可能です。
床矯正は、ワイヤー矯正と異なり患者さまの意思で自由に「取り外しが可能」なので、歯磨きや食事の際はもちろんのこと、いつでも取り外しができるので、治療前と同じような生活を送ることができます。
また、ワイヤー矯正のような治療に伴う痛みが少なく、ブラケットやワイヤーが取れ、ワイヤーが口腔内に刺さることもないといったメリットがあります。
ただし、装着時間をご自身で管理しなければならないため、装着時間を守れない場合は、治療計画に狂いが生じ、予定していた結果が得られなくなってしまいますので、自己管理に自身の無い方には難しい治療かもしれません。しっかりお子様が規定時間以上、毎日装着するように親御様が管理してあげて下さい。
また、サイズが大きく、装置の形状が複雑なため、慣れられるまで違和感や異物感が大きく、発音もしにくくなる点がデメリットとして挙げられますが、おおよそ2週間程で慣れることが一般的です。
バイオネーターは、ワイヤーとプラスチック床でできている装置を装着し、筋肉の動きを利用して下顎の成長を前方へと促すための装置です。取り外しが可能ですので、通学時や食事の際に装置を気にする必要がありません。
主に上顎前突(出っ歯)や下顎の劣成長に伴う上顎前突、過蓋咬合(かみ合わせが極端に深い状態)などの治療に適しています。
第一期治療の矯正治療時に使うワイヤーの部分的矯正装置です。通常のワイヤー矯正では、すべての歯が永久歯に生え変わった状態でブラケットを装着して行いますが、2X4は乳歯と永久歯が混在している混合歯列期に行います。主に、前歯を真っすぐに並べる、前歯の位置を調整することなどを目的としています。